· 

「直角に曲がる川」(研修リーダーの思いを込めて)

研修リーダー 吉田 茂会員

令和4年5月11日

ホテルクレメント高松にて

ソバハニが,一緒にゴルフをしているとき,直角に曲がる川の話をしました。私は,ソバハニが興味をもっているなら,RCの卓話でその川について話してみたいと思いました。研修リーダーの具体的な活動として,面白い卓話をすることによって,例会に出席してよかったと思ってもらうことを考えていたからです。

 

 

直角に曲がる川の名は,吉野川です。阿波池田の池田ダムの上流でほぼ直角に曲がっています。直角に曲がった原因は,讃岐山脈です。讃岐山脈は,フィリピン海プレートの東端が太平洋プレートと衝突し,中央構造線の北側の大地に北西方向の力がかかったことにより,その部分が隆起してできました。吉野川は,讃岐山脈ができるまで北に,つまり香川県に流れていましたが,讃岐山脈に阻まれて北から東に流れを変え,中央構造線に沿って流れるようになりました。

 

約300万年前のことです。

吉野川がかつて香川県を流れていた証拠の一つは,阿波の青石がまんのう町の古い地層の中から発見されることです。阿波の青石の学術名は,三波川結晶変岩(緑色片岩)であり,三波川変性帯の岩石です。吉野川は,大歩危小歩危に露出している三波川結晶片岩を,讃岐山脈が隆起する前はその北側のまんのう町まで運んでいた,つまりまんのう町を流れていたということです。

ただし,そう判断する前提として,三波川結晶変岩がもともとはまんのう町になかったことが必要です。三波川変性帯は,中央構造線の外帯(太平洋側)側に,関東から九州まで続いている地質帯ですので,三波川結晶変岩は,もともとは中央構造線の北側にはありません。したがって,まんのう町で発見される阿波の青石は吉野川が運んだものなのです。

 

今日の話のネタ元は,NHKの番組です。その番組で「三波川変性帯」と聞いたとき,群馬県で育った私は,とてもなつかしく感じ,また感動しました。三波川から三波石を連想し,上毛かるたの「三波石とともに名高い冬桜」を思い出しました。上毛かるたは,群馬県の名所・自然・人物などをかるたにしたものです。上毛というのは,群馬県の古い呼名です。私は,ふるさとの三波石と今暮らしている四国の阿波の青石が,1000㎞近く離れていても同じ地質帯の岩石であることを知り,感動しました。みなさんに,1000㎞の距離は人間にとっては遠くても,地球にとっては近いのだということがわかった私の感動を共有していただけたら幸いです。

 

Club Banner
Club Banner

 クラブバナーのデザインは、創立時のテリトリーのシンボル的存在だった栗林公園の「箱松」とロータリーのエンブレムを組み合わせたものです。

 箱松とは、その名の通り箱のかたちを装った松。樹芸の粋を極めた箱松は、ほかには見られない特別名勝 栗林公園ならではの景観をつくっています。

アクセスカウンター